ハッピープレゼンツ
                         ―中編・中身は確信犯―


ささやかな団らんの後、部屋に戻った加流羅は、
テマリから贈られた新しい服と、カンクロウから贈られたクシをしまった。
ちなみに今日は留守の我愛羅は、帰ってきてから渡すと出かける前にいっていた。
誕生日が終わってからも楽しみだ。
一通り片づけが終わってから、最後に残していた守鶴からの贈り物を開けた。
「ねぇ、守鶴。」
「ああ、開けたのか。」
家族の前では開けていなかった小さな袋。
その中には、黒い箱に収まった細身のシンプルな指輪が入っていた。
守鶴が最初に贈った灼熱の欠片を使ったペンダントとお揃いになるように、これも小さな灼熱の欠片がついている。
黄金色の輝きが美しい。嬉しい贈り物だ。
「サイズ、やっぱりこっちに合わせたのね。」
何となく勘で薬指にはめたらぴったりだった。これは狙っていたに違いない。
どう見ても結婚指輪としか思えない作りは、言葉無き所有権の主張である。
「別にいいだろ?」
当然彼は確信犯なので、聞かれてもしれっとしている。
「あの子がすねちゃいそうだから、こっちにつけとくわね。」
上の2人はともかく、我愛羅は守鶴に常日頃から敵愾心を燃やしているので、同じ薬指でも右手にはめておくことにした。
これが原因でまた喧嘩になったら困ってしまう。
「いちいち見てねぇだろ?」
「分かんないわよ?でも、これきれいね。
引っかからなさそうだし、いつもつけておけそう。」
加流羅は普段から料理などの家事をこなすので、邪魔にならないデザインの指輪は豪華なものよりもありがたい。
これなら、どんな時でも大丈夫そうだ。
「そうだろ?そういう風に作らせたんだぜ。」
「やっぱりそうだったのね。ありがとう。」
普段おおざっぱな分なのか、こういう細かい気遣いが本当に守鶴はうまい。
これも、いかに狙った効果を引き出すかという計算なのかも知れないが、だとしたらかなり計算上手だ。
一般的には、気が利くという類の意味で。
「気に入ってもらえると、贈った甲斐があるぜ。」
そういって、守鶴は加流羅の腰にさりげなく手を回して引き寄せ、ごく軽く口付けた。
それが、二度三度と続く。
「ん……何?」
もしかしてと思いはするが、改めて問う必要はなかったから口にしない。
だんだんと深くなる口付けを受け入れて、加流羅の瞳の色がとろんと溶けた。
抱え上げられた 彼女の 細い腕は彼の首に絡みつくように伸び、誘惑しているかのようだ。
「こっちはいつも通りなの?」
夜に彼が彼女の肌を求めてくるのは、毎晩の恒例と化している。
軽く茶化して笑うと、守鶴もまた笑った。
「嫌じゃねぇんだろ?」
「ええ。」
誕生日に愛する人の腕に抱かれる事が、嫌な訳はない。
そのためか、いつもなら脱がされてしまう服を自ら脱ぎ捨て始めた。
「積極的じゃねぇか。」
「……ちょっとは恥ずかしいのよ?」
特別な日だから普段はしない事もしているだけで、羞恥心はいつものままだ。
積極的といわれればそのとおりだが、気恥ずかしい思いをした。
「慣れねぇ事してるからだろ?」
「ひゃ……。」
露わになった豊かな膨らみに守鶴は優しく触れる。
ほぐすように丁寧に揉めば、つぼみが硬くなって頂で存在を主張した。
硬くなったそれを舌で転がしてやるだけで、加流羅の吐息が艶を帯び始める。
「あっ……はぁん。」
悩ましい密やかな喘ぎは、もっととねだる声にしか聞こえない。
己の手管に反応して上がるそれは、耳に心地よく響く。
「きれいだぜ、加流羅。」
「んっ……!」
触れるか触れないか、という微妙な加減でわき腹を撫でる。
舌で今度は首筋をなぞっていると、声をこらえて息を詰まらせる様をはっきりと感じ取れた。
豊かな双丘を揉みしだき、だんだんと触れる手を下の方へと向かわせる。
なめらかな曲線を描く足を開かせ、蜜壷に舌を這わせた。
「あぁんっ!」
蜜壷のそばに隠れた真珠もなめられて、加流羅の体がビクッと跳ねる。
「やっ……あぅ……。」
徐々に染み出てくる淫らな蜜が潤し、喘ぎの熱も増していく。
かまわず舌で敏感な箇所をなぶり続ければ、すぐに彼女は高みに近づいた。
「ひゃあぁん!」
腰が跳ね、けいれんしたように足が震える。
顔を上げた守鶴は、満足そうに口の端を上げて笑った。
その表情はさながら獲物をしとめにかかる猛獣のようだ。
「何だ、もう欲しいのか?」
「う……聞かないで。」
頬を真っ赤に染めた加流羅の内股と鎖骨に、赤い花びらを散らす。
平行して膨らみの頂を指で転がせば、彼女の蜜は守鶴の言葉を肯定するかのように湧き出た。
口よりもよほど素直だ。
「希望には応えてやらねぇとな。」
体の反応を彼女の意思とみなして、待ちわびて濡れそぼった蜜壷を守鶴は熱いくさびで満たした。
手で押さえられている加流羅の腰がびくりと跳ねる。
「あぁんっ!」
愛する人とつながる感覚は、彼女にこの上ない快楽をもたらす。
それは体のものばかりではなく、心もだ。
「きれいだぜ、加流羅。」
吐息がかかる程近い位置で囁かれ、加流羅の心臓はドキッと一瞬うろたえる。
こんな状況でも、きれいと言われるとまんざらでもないのが女心だ。
とはいえ、恥ずかしさが勝ってしまうが。
「ひゃんっ!もう……恥ずかしい。あふっ!」
乱れた姿を見つめられるとそれだけで顔が熱くなり、紅潮した顔の赤みがさらに濃くなった。
乱れた荒い息が守鶴の顔にかかっている。
彼がより深い繋がりを求めて彼が奥へと突き進めば、加流羅は何とか快楽に耐えようと拳をきゅっと固く握る。
気がつけばその手首に守鶴の手が回っていた。
出来るなら指を絡める方が好きではあるが、甘い拘束に逆らう術はない。
荒々しい感覚と手首の温もりに身をゆだねる。
「あっ、あぁん!!」
髪が散らばりシーツに広がる。それは彼女の余裕の無さを示しているようでもあった。
守鶴が握る細い手首が熱い。
彼女が身をよじった拍子に、右手の指輪が光った。
ペンダントに次ぐ、贈ったばかりの第二の愛の証。
加流羅が守鶴の妻だとはっきり示すそれが光っているだけで、彼の独占欲は心地よく満たされる。
その満足感にただ酔いしれた。
「ひうっ、やだ……もう……!」
細い体にぶつけられる欲望に、悲鳴にも似たか細い声が上がった。
もっともっと汚してしまおうという気になり、守鶴はニヤリと笑う。
「もうだめだって?」
問いかけると、彼女はこくんとうなずいた。
実際、そうであろう事は様子から窺うことは出来ていたが。
「あ、あぁぁんっ!!」
高い声を上げると同時に頭の中が白くなり、加流羅は絶頂に達した。
どろりとしたもので汚されたことにも気が回らず、糸が切れたように体を投げ出す。
繋がりを解いた後、守鶴が額にキスを落とした。

「ふう・・疲れたわ。」
「寝るか?」
「もう少ししたらね。あなたはどうするの?今夜は寝る?」
守鶴は毎日眠る必要はない。
いつも一緒にベッドにもぐりこんでくれるが、加流羅が寝付いた後は起き上がって違う事をする日も多い。
「寝るぜ。嫁の誕生日に、仕事も何もねぇからな。」
「ふふ、そうなの?」
それは嬉しいお言葉だ。全く、彼は女性の機嫌を取るのがうまい。
「そりゃそうだ。空気をぶち壊すただの邪魔物じゃねぇか。」
「あらあら。そこまで言われたら、仕事がちょっと可哀想じゃない?」
「あんなホコリより積もってタチ悪い連中、
一晩くらい大人しくおねんねさせといたってバチはあたらねぇよ。」
「もう、相変わらず口が悪いんだから。」
気持ちは分かるが、それはあんまりな言い草だろう。
くすくす笑って、守鶴の腕を枕代わりに横になった。
「話は変わるけど、これをくれたって事は、近いうちに式を挙げるつもりなの?」
「そうだな、ごたごたが片付いて戻れるめどが立ったら準備するつもりだぜ。
結構時間かかっちまうから、始めてから何ヶ月も先になるけどな。」
「やっぱり大仕事になるのね。遠い所の人たちも呼んだりするんでしょう?」
「まあな。毎回どんちゃん騒ぎみたいなもんだけどよ、子分達も楽しんでるしいいもんだ。」
「とても楽しそうじゃない、素敵ね。
じゃあ、皆楽しみにしてそうね。」
「ヒャハハ、そういや最近せっつかれんな、『いつお連れになるんですか?』ってよ。」
加流羅との仲は部下の前で公言しているので、彼らの関心は当然そちらに向く。
結婚が自分達の王の復帰とほぼ同時になると睨んでいる事も大きいのだろう。
そうでなくても、長の恋というものは種族全体の関心事に違いないが。
「それじゃあ、あんまり待たせられないわね。」
「ああ。それに、オレ様も早くオメーの花嫁姿を見てぇしよ。」
「うふふ。じゃあお仕事頑張ってね、あなた。」
「バカツキの連中か?そうだな、さっくり片付けとかねぇといけねぇな。」
水入らずの結婚生活の邪魔になるものは、早いところ片付けておくに限る
絶品の報酬のためなら、いくらでも頑張れるというものだ。

「あなたったら……普段のお仕事も大事にね。」
放っておいたら、勝手に出かけていって暁を絞めかねない夫には苦笑する。
それだけ待ち遠しいのだろうが、そのために彼が考えることは少々物騒だった。


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※前後編は表です。

誕生日でもやる事は変わらない守鶴。
違うのは、やけに金額がでかいプレゼントを持ってきた事位です。
とはいえ、メインの石は拾ってくるだけで実質ただなんで、あげた本人は加工賃くらいしか意識しないかも。
ところで結婚指輪は石がないのが主流らしいですが、
最近は女性が持つ方には小さいのがくっついてるのもちらほらあるんですね。
多分現実にはろくになかろうと思って検索したら、少々ほっと(?)しました。
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