Title:薄光(はっこう)の虚ろ

湖面に映る己の姿。
眼帯の下に隠されていた右目も、水面は隠すことなく映し出す。
本性の時ですら決して開くことの無い瞳に宿るものは、
優しき心に相応しくない禍々しき力。
己をさいなむだけの凶眼を自ら封じ、幾ばくの時が過ぎただろう。
誰の姿も映さないまま、もう二度と使われないであろう力を秘めて眠る瞳。
けれどこの瞳がもたらす悲しみ以上に、この永い永い生は多くの悲しみを取り込んでしまった。
そしてその悲しみも嘆きも、全て広く深い心に沈む。
日頃その瞳に宿る優しく暖かな光は、
偽りない本質であると同時に、その奥の悲しみを見せないための障壁。
誰の瞳にも、己の悲しみを見せないためのもの。

1人きりになれる場所で、己が司る水の中に悲しみを溶かすように、
ひと時でも悲しみが優しくなるように。
愛しい者や親しい者の前で、悲しみが沈む心中を忘れるためにも。
今だけは、嘆きにこの身を深く沈めてたゆたおう。
押し殺しすぎた悲しみがあふれ出して、大切な人々を傷つけないように。
舞い降りる月明かりのごとき優しいぬくもりを、いつも抱きしめられるように。

蒼い森で、澄んだ湖で。
澱(おり)のように積もるその一端だけを、琥珀色の左目の底に透かして。
脆く強く、永遠に降り積もる悲しみを抱く。



日記で散々半裸呼ばわりされたことが、ある意味一番哀れな絵。でも事実。
水面下で動かすうちに、磯撫はこんな一面も持つキャラになりました。
そういうわけで、誰も居ないところでだけ暗い顔して物思いにふけるというシチュ。
手に持っているのはバンダナと眼帯です。……変な物と勘違いされたことはいい思い出です(何
それにしても、顔は優男の癖に体がごつい。まぁ、華奢設定が無いですから(おい
こっそり腹筋も割りました。あんまり描ける所じゃないので、若干楽しかったです。
ちゃんとした設定絵を描いた後にこれを見て、深く後悔しましたけどね。
個人的に、表情が悲しげに見えるのは色々試して散々遊んだせいかも(鬼
そして作業中は今回に限って解像度が300だったので、細部と影が潰れたという罠。
題名に虚ろと入っているのは、雰囲気半分、目が怖いのが半分だったり(直してやれよ
薄光の読みは、一応薄幸と引っ掛けてます。本当に薄幸かは別として。

―スピンして帰る―

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