Title:気温マイナスの晩

春夏秋冬。季節をまたいで旅を続けていれば、時にはとても寒い夜もある。
そして暑さ寒さというものは、得てしていがみ合いの種になるのであった。
「こら引っ張るな!寒いじゃないか!!」
そう言ってウタカタが半身にかかった毛布を引けば。
「うっせー、おれだって使いてーんだよ!譲れ!」
負けじと言い返しながら、神疾も引っ張る。
「い・や・で・す!何で妖魔に譲らなきゃいけないんだ!
いいじゃないか、どうせ寒暖の差にも強いんだろう?!」
嫌味ったらしく丁寧語を混ぜて、ウタカタは種族を盾にまた引っ張る。
「何とでも言いやがれ!これはおれが家から持ってきた毛布なんだから、おれが優先だろ!!」
ああ言えばこういう。思いやりのおの字もなく、神疾もまた引っ張った。
「人間は虚弱なんだから、そっちが譲れ!」
一層声を荒げて、ウタカタは毛布が千切れそうなくらい強く引っ張った。
「やなこった!出てけー!」
ひじでぐいぐい押しのけながら、こちらも同じ要領で引っ張る。
「そっちこそ!数千歳にもなって大人気ないとは思わないのか?!」
肘鉄にめげずに、今度はぐるぐる巻きついて粘りだす。
「うっぜ〜!マジで凍えちまえーー!!」
大人気ないのはどっちだと、まきつくウタカタの脳天に肘鉄をもう一発。
低レベルな喧嘩は延々続く。
果たして勝利の女神は、見てくれは麗しい男のどちらに微笑んだのだろうか。



お前らまず厚着しろと、露出の少ない人がいたら確実につっこむネタ。
どうもこういう醜い潰し合いばっかり思いつきます。低レベルな喧嘩とも言いますね。
お互い一緒の毛布で寝たくないばっかりにこんなことに。
毛布をもう一枚調達して来れば済む話なんですが、多分翌朝辺りになって気づくとかそんな感じ。
結局この晩どうやって彼らが寝たのかは、想像にお任せします。

―スピンして帰る―

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